2013/07/01 高齢者・小児の口腔ケアについて 野村 鷹一
「歯がないので、磨かなくてもいいですか?」
「歯が出てきたんですが、歯磨きはした方がいいんですか?」
「歯がないのに,口臭がひどいんですけどなぜですか?」
「歯を磨かせてくれないんですけど、どうすればいいですか?」
患者様からの質問で、子供たちの口腔ケア・高齢者の口腔ケアについてよく聞かれます。
高齢者・小児での口腔ケアについてお話をしていきたいと思います。


Ⅰ:高齢者口腔ケアについて
歯がない(無歯顎)方の口腔ケアは、歯がある(有歯顎)方の口腔ケアと同様に毎日必要です。口腔内には多数の細菌が存在します。
多種類の細菌の中にカンジダ菌があり、無歯顎の口臭及び粘膜の炎症の主な原因菌です。カンジダ菌を抑制するために、無歯顎の方も口腔ケアに力を入れていかないといけません。
入れ歯(義歯)の使用方法として、食後は外し洗浄を行い口腔内をゆすぎます。
就寝中の間は、唾液の分泌量が軽減し、細菌の活動が活発になるので口腔内から義歯を外し乾燥しない状態で保管をします。この方法だけでも十分に抑制できます。
また、カンジダ菌は舌の表面に付きやすいので、舌専用のブラシを使用し除去するとさらに抑制できます。もし、専用のブラシが無い場合でも市販の柔らかい歯ブラシにて軽い力で奥から手前にかき出すように清掃をしていただくだけでも、効果はあります。
有歯顎の方で使用している義歯も同様に、清掃していただきます。また残存している歯のブラッシングをしていただければいいと思います。
上記の方法を、ご自身で出来ない方も多くいらっしゃると思います。その方の口腔ケアを行うには、介護に携わっている方がしていただくしかありません。高齢者の方のよりよい生活ができるよう、上記の方法を用いり口腔ケアに力を入れていただきたいと思います。 

Ⅱ:小児の口腔ケアについて
小児の方は歯が少しでも出てきてくると、口腔ケアをしていただくといいと思います。
無歯顎の場合では高齢者の方と違い、口腔内の細菌数は少ないですし、うがいができないため無理に行う必要はありません。
小児の口腔ケアにて、まず行うことは歯ブラシを嫌いにならないようにすることです。
方法としてはご両親が歯ブラシを使用している姿を見せ安心させます。その後、少しずつ小児の口腔内に使用していきます。一度に全てを磨こうとすると、不快感より歯ブラシを嫌いになる可能性があります。
最初に少し見えてきた歯は、ガーゼや綿棒などで拭うだけで十分効果があります。拭う力は凄く軽い力でかまいません。
今まで説明している小児とは0歳児のお話です。1歳以降は、歯が生えてくる本数が増え、普通の食事や甘いものを摂取するようになり、虫歯のリスクが上がります。その時期に重要になるのが、保護者の方の仕上げ磨き及び糖分摂取の制限です。
口腔内に糖分の高い食べ物を保持すると、口腔内が酸性化し歯が脱灰し虫歯になります。甘い物を制限することも小児の口腔ケアに必要です。

今まで述べてきた内容が少しでも皆様にお役に立てたら幸いです。